20200105いまさら読む本

美術手帖 これからの美術がわかるキーワード100(2017年12月号)を読んでいる。

2017年。4年も前だ。当時の「これから」は今では「あのころ」だが、それゆえに、と言えば良いのか、わりと面白く読んでいる。最近、かなり集中力が無いので飛ばし飛ばし読んでいるけれども。

 

以下、面白かったところ

  • Instagram時代の写真表現——当時の全世界ユーザー数は7億人(いまは11億)。米現代美術家リチャード・プリンスが他ユーザーの投稿を無断でスクリーンショットしてプリントした作品が炎上。当時「インスタグラマー」「インスタ映え」「セルフィ」「炎上」と言った用語が定着したころらしい。フォロワーやいいね!の数が写真への関心や評価の指標となることへの警鐘。インパクト、話題性重視の価値判断基準が醸成されつつあるとのこと。2021年もまだ同じこと言ってる。
  • カタストロフィへの反応——ハリケーンカトリーナ(2005)や3.11など未曾有の災害に対しての作品。「多くの人命が一度に失われる破滅的状況にあって、アートに何ができるのか。」まさに今問われている。別頁の論考「再説・2020年からの挑戦」で、大災害が起きた跡地=被災地(ex.3.11なら福島原発)がいわば聖地となったと指摘され、2020年前後には首都直下地震などで「聖地」がさらに生まれる余地が悲しくもある、と書かれている。まさか全世界が聖地になりつつあるとはこの頃は想像できなかった。「最悪の場合、(中略)東京オリンピックが中止になってしまってもおかしくない。」、最悪の場合が起きている。聖地に人々が集まることも許されない状況だが、これからどうなるのだろう。オリンピック・パラリンピックは体育祭としてもそうだが前後の文化芸術の興隆に期待が高まっていたがそれどころではない事態。
  • マイノリティや女性作家の再評価——「近年、同世代の白人男性作家に比べて価格面での評価が遅れていたマイノリティや女性作家の作品が、マーケットで急速に評価を得始めている。」2017年にはサザビーズバスキアの作品がアメリカ人アーティスト最高落札額(日本円で123億)で落札されている(落札したのはZOZOTOWN前澤友作)。
  • アート・ストライキ——2017年といえば1月にトランプ第45代アメリカ合衆国大統領が就任した年。就任式前にはJ20 ART STRIKEが呼びかけられた。https://www.cinra.net/column/201701-artstrike 思えばBLMが全世界に広がるのはまだ未来の話。

 

以上です。さていま2021年ですが、なんとなくタイムスリップした気分になりました。

 

2021/01/05 22:59